『「アレクト…っ。」』




やばい。

僕らふたりじゃ勝てない。




『時雨、希ちゃん呼んできて…』


「え…あ、うん。」




そう声をかけると体育館から出ていき、希ちゃんを呼びに行ってくれる時雨。

大丈夫。
希ちゃんが来るまでなら、もちこたえられる。

多分、希ちゃんに連絡すればほかのメンバーにも伝わるはずだから。




「お前はよほど無茶が好きと見える。」


『無茶してるつもりはないよ。』




にこりと笑って僕の魔具‥‥神弓を呼び出す。




「弓が魔具のお前に勝ち目はなかろう?」


『やってみなきゃわからないでしょ?』




笑みを崩さず話し続ける。
できるだけ時間を稼がないと。




「私に一度負けているというのに、なぜ挑める?

君は私はおろかタナトスにも勝てないと察しているだろうに。」


『僕は負けず嫌いだから。

それに、タナトスはともかくあなたは救えると信じてる。』