「なるほどね。」



しばらくして納得したように声を発する、やはり立ったままの男。



「貴方も随分と無謀なことを考える。」


「無謀?
これが最善の策でしょう?」



一番効率のいい潰し方じゃない。と笑う月明かりで髪を輝かせる男。

無邪気な笑顔とは裏腹に、言っていることは至極恐ろしいことなのだが、立ったままの男は同じように笑っている。



「‥‥協力しよう。
貴方がいうならこの方法が一番いい。」


「ふふっ。ありがとう。
これは僕らの秘密。いい?
誰にも言っちゃダメだよ?」


「分かってるよ。
こんなことバレたら怒られるでしょ?
俺も貴方も。」


「鉄拳はまぬがれないだろうね。
失敗しても、成功しても。」


「ま、こんな博打もたまには悪くない。」



そう2人が笑うと、それを待っていたかのように月明かりが一層明るく照らす。

キラキラ光る銀の髪は風もないのにふわりと揺れ、パチンッ…と小さな音がすると紙の束が一瞬で燃える。




「消し炭だ。
この内容、俺が覚えてなかったらどうするの。」



呆れたように呟く立ったままの男。

部屋の闇に飲み込まれそうな黒い髪が揺れ、パチンッ…と再び音が鳴ると燃えている紙の束の上に水が降り、消火される。



「覚えてなかったら、僕が説明するからいいんだよ。」


「まったく…。
自由人だなぁ。 」


「それが僕なもんで」


2人は笑う。
柔らかく、優しく、おおらかな笑顔で。