「呼び出してどうしたの?」


電気もつけられていない暗い夜の部屋に人影が2つ。

かろうじてあるのは、月明かりのみ。
しかしそれも、雲が薄くかかり霞んでしまっている。

1つは椅子に腰掛けていて、もう1つは椅子に座っている影の前に立っている。



「ちょっと頼みたいことがあって」


「頼みたいこと?」


首を傾げる立ったままの影。
雲が去り、月明かりが2人を照らす。

しかし顔は見えない。
分かるのは2人とも男だろうと言ったところか。

座った影の髪がキラリと光る。



「ひとつ、学んで欲しいものがある。」


「結構今もいっぱいいっぱいなんだけど。」


「そんなこと言わずにさ。」



くすりと笑ったその男は机の上に紙の束を置く。

それを無言で取り、サラサラと目を通すもうひとりの男。

月明かりに照らされ、腰掛けた男の髪がキラキラ光る。