「元々いい神?
つまり、アレクトに救われた町のことを信じた説ってこと?」



雪兄の問いかけに頷く紫乃。



『なるほどね。
‥‥‥‥で?』



前座はそこまで大事じゃない。
今必要なのは真実。



「限りなく真実に近い答えなんですが‥‥。
恐らく、神魔学に操られているというのが有力かと。

叶さんが魔力の気配を辿ったんですが、魔行術の痕跡があったと。

しかもそれは、魔力で行われたものではなく神の力の残り香があったらしいです。

それと、精霊や神、そして僕たちに伝わるアレクトの契約代償なんですが‥‥」


『契約代償‥‥あぁ、そんなのもあったね。』



多分、長い年月で変わってしまったものが伝わってきただけなんだろうな。



「アレクトの契約代償は確かに術者‥‥契約者の命です。
しかし、アレクトが命を取るタイミングはその契約者が死ぬ間際なのだとか。」


『「‥‥‥‥‥‥。」』



つまり、契約内容にかかわらず、契約者は人生を謳歌できるってわけか。

僕の中の仮説がどんどん形になっていく。

香山先輩の中にいるモノの正体。
アレクトの本質。