「後もう一つ収穫が。」


『なに?』


「アレクトの事、お聞きになりました?」


「アレクトの事?」


『あー、雪兄には言ってないんだっけ?
紫乃の持ってた伝記に〝アレクトに救われた町〟の話があったんだって。』


「アレクトに救われた町‥‥」



雪兄は少し難しい顔をする。

アレクトは僕らにとって悪いイメージだったから、救われた町があるなんて信じ難いところもあるんだよね‥‥



「それについて、2つの仮説を立てて叶さんと調査しました。」


『2つの仮説?』


「はい。」


「それはなんなの?」



僕と雪兄がよほど不思議そうな顔をしていたのだろう、立ちっぱなしだった雪兄に座るように促し、人数分のお茶を入れて自分も座る紫乃。



「第一に助けたのは本当の気まぐれである説。」


『そう考えるのが自然だね。』


「そうですね。
第二に‥‥神魔学によってアレクトが操られている説。

つまり元々いい神だったと言う説です。」