『それで‥‥何があったの?』


「準決勝の前、ウィンディーネが来た」


『ウィンディーネ?』



シルフィードやサラマンダーと違って忠実なウィンディーネは眞佳の命の危機‥‥この前みたいなことがない限り、自主的に出てこない。

珍しい。



「ウィンディーネが言ってた。
神界からタナトスが消えたって。」


『タナトス!?
じゃあ、まさかさっきのって‥‥』



香山くんに入ってたのはタナトスだってこと?

そう言いかけたとき、眞佳は首を横に振った。



「あれは、多分違う。」


『多分?』


「確証がないんだ。
けど、タナトスなら確実に僕を葬ることができたはず。

たとえ、結界があったとしてもな。
……あれがタナトスだったとしたらこんな怪我で済まなかったよ」