『人じゃない‥‥というより、香山先輩に〝入ってる〟ね。
僕は君の名前を知らない。

教えてくれないかな?』


「ほう‥‥剣を当てられても情報を得ようとするか。
貪欲な人間よ。」



うるさいくらいに早い心臓の音。
冷や汗すごいし、こいつには隙がないから現状では僕が逃れる方法がない。

そもそも実力が違うから‥‥勝てない。

それでも香山先輩は体を使われているだけだから、〝中のやつ〟を出さないといけない。



『香山先輩から出ていけ。』


「それは出来ないな。
こいつの体は居心地が良い。」


『ふざけないで。
香山先輩には香山先輩の生き方がある。

お前が関与していいものなんて一つもない!』


「威勢がいい。
しかし、力の差を理解しているのに向かってくるのは感心しないな。

冥闇 増悪陣」



首元に当てられた剣に力が込められていることがわかる。

やばい‥‥っ。

冥闇‥‥この力を使えるのは‥‥。