甲高い音がなり、僕の剣とティルの鎌が交わる。



[忘れないで下さいませ。]


『ごめん、ごめん。
わざとじゃないんだ。』


[随分と余裕がないようで。]


『まさか、ここまで強くなってるとは思わなかったから‥‥っ!!』



力を込めてティルを押し返す。
ティルがよろけた隙に眞佳へと走る。

精霊を帰すには術者を屈服させるしかない。
術者に近寄るなんてかなり危険な賭にはなるけどね。

僕は危険だとわかってるから実践でも、模擬戦でも基本的にその手は使わない。

それが分かってる眞佳は意表をつかれた顔をしている。

紋を結ぼうとしているけど、間に合わない事は眞佳が一番知っているだろう。



『眞佳、負けず嫌いは僕もなんだよ?』



眞佳の懐に入り込み、寸止めをするつもりではあるものの剣で首元に切りかかる。

僕と眞佳の距離は近い。



「やっぱり、甘い」



剣のスピードを緩めたとき、そんな呟きが聞こえた。

その時、ドンっと横腹辺りに衝撃がはしり目を向けると〝眞佳の手に握られた短剣〟が突きたてられていた。