『さて。僕も行こうかな。』



鳥たちは校舎側。
つまりは寮のあるこちら側と反対側を任せている。

こっちは自分の目で確認するよりほかにない。

黒のパーカーを取り出して、フードを目深に被る。

寮の入り口まで行くと、寮監が鋭い目つきでこちらを見た。

しかし、僕だとわかるとその警戒をとき普段の優しい目で微笑んだ。




「結界の異常ですか?」


『気がついてたんだね、希ちゃん。』



八城希(やしろのぞみ)
1Aの担任で蓬莱家に仕えるSランク保持者。
昼間は教師なんだけど、夜は寮監をしてるこの人は僕の魔具の師匠でもある。



「そのちゃん付けやめませんか?
〝眞佳様〟。」


『僕を様付しなくなったらね。』


「ご冗談を。
普段ならともかく、〝嵐燕S級ランク隊長兼蓬莱家の方〟に敬称なしでは無礼に当たります。」


『僕は無い方がいいのに。』