正装に身を包み、気配を完全に消して会場の端でふわふわと笑う我らが嵐燕隊長を見る。



「紫乃、あんまり眞佳に無理させないでよ?」


『分かってますよ。
マンティコアの件は耳に入っています。

副隊長の心配に及ぶようなことはしませんし、させませんから。』



だだ僕の仕事は、隠密として頼まれた情報を引き渡すことだ。

それが例え、隊長が望む結果ではなくても。
僕が拒みたい事実だったとしても。

ただ、それが隊長に害なすものならば隠密部隊がひねり潰す。

僕らは僕らが隊長と認めたたった一人のお方に尽くす。

嵐燕という誇りを抱いて。



「これより、理事長からのご挨拶をいただきます。」



副会長様の声が透き通り、壇上に目を向けると国魔校第一理事長であり現嵐燕統括であり蓬莱家当主

蓬莱清様が王者の風格を見せながら舞台の中心へと歩いていく。