全く気配がなかった‥‥



「眞雪先輩が気づかないなんて珍しいですね。」


『僕もぼーっとするときくらいあるからね。』


少し困った風に笑う。


「それでも珍しいですよ。」


『そうかなぁ?』


「やっぱり弟さんがあんな事になると動揺するもんですね。」


『当たり前でしょ。家族なんだから。』



僕がそういうと桜は寂しそうに笑う。



「僕には家族というものがいまいちよく分かりませんから何とも‥‥」


『そういえば養子なんだっけ?』



桜が持っていた重そうな荷物を半分、半ば奪いながら問いかける。

僕の行為にお礼を言いながら僕の問いかけに同意する桜。