「それで?今回もまた求婚の話ですか?」
「ちと惜しい。今回は交友関係を深めるための親睦パーティーのお誘いだ」
「うわぁ、」
(出た)
年に一度の親睦パーティー改め、酒乱パーティー。
数年前から始まったこの名ばかりのパーティーは、ただお互い飲み明かし、あわよくば結婚相手を見つけたいがためだけの催しだ。テラルのお姫様、ガーナ姫がアベルをゲットしたいが為に始まったものである。もちろん王宮メンバーは全出席、国軍も含めて、だ。
「…は、どうせ俺は強制出席なのだろう?」
「もちろん」
「頼む、誰か俺を連れ去ってくれ…」
(連れ去られる気もないくせに)
「王宮内の美女でも連れてったらどうですか」
「埋め合わせのパートナーを選ぶなんて相手に失礼だろう」
「…よくそんな紳士ぶった言葉出てきますね」
「事実を言ったまでだ」
ドヤ顔で椅子に踏ん反り返るトップに、元トップも部下も呆れ顔である。
…それよりも、さっきからこっちを見ているナイアンの視線が恐ろしく痛い。彼のことだ、何かを察してこっちを見ているのだろう。
目線をわざと外しているが居た堪れない。
ほっといてくれ、本当に!
「…と、まあ色々考えたいな。俺はちょっと先を外す」
逃げるようにとっと部屋を後にした上司に、シロとナイアンは引き止めもせず頷いた。まあ逃げたくなる気持ちも分かる。あの隣国の姫に言い寄られて早4年だ。私だったら国から逃亡するレベルだ。
「…色んな意味で苦労するなあ、あやつの部下も」
「はは、もう慣れましたよ」
本当に気苦労が絶えない上司なのだ、国の戦争の指揮を持ち、終わってからもそれからは逃れられない罪。一緒にその罪を背負うと誓って未だに彼の背中を押して、守る自分。
この関係も些か滑稽だろう。
早く身を固めて仕舞えばいいのに、彼も。
「…こんなに身近に己を思ってる奴がいるのになあ」
「だからそれ、内緒ですよ」
「なんだかなあ、君が彼の世話役になってきた時のことが昨日のように思い出せるわ」
「ああ……もうあれから10年になるのですね」
私が彼の側に付くようになって、10年も。
(この国が未完成だった、10年前)
