「早くこっちおいでよ」
「待っててくれたの?」
いつもだったら呼ばれたらすぐ側にいく。
だけど、今日の尊くんはいつもと違うから探りを入れてみた。
「……なんで?」
「なんでって今日の尊くん変だから」
「どこが?」
「なんか怒ってる。顔怖いし」
あ、顔怖いとか言っちゃった。
すると、いままで座っていたソファーから立ち上がって自らこっちに近づいてきた。
そしてピタッとわたしの目の前で止まる。
少し上を見上げないと見えない尊くんの顔。
相変わらず、耳元にはいつもの綺麗なピアスが光っている。
いつ見ても、この顔には慣れない。
見つめられたら身体が動かない。

