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そして放課後。
ホームルームが終わって尊くんのところへ行こうとしたところで
「あ、ちーこちゃん」
戸松くんに声をかけられて足を止める。
「今から尊んとこ行くの?」
「うん、そうだよ?」
戸松くんも尊くんの秘密基地を知る数少ないうちのひとり。
そしてわたしが尊くんに会いに行ってることも知っている。
「千湖ちゃんってさ、ほんと一生懸命だよね」
「え、いきなりどうしたの?」
いつもとなんとなく違う雰囲気で話す戸松くん。
「さあー?いきなりどうしたでしょう」
「それわたしに聞かれても」
たまに戸松くんって謎な一面がある。
普段明るく振舞ってるくせに、自分の本性とかを一切明かそうとはしない。
まるで本当の自分を見せないために隠してるみたいで。
何を考えてるのか、読みにくい人でもあったり。

