最初は別に好きとか、そういう感情はなかった。

だけど、よく家に来ていた美郷はいつも浮かない顔ばかりしていた。

その当時、高校3年だった美郷は自分に自信がないことで、兄貴の彼女は自分でいいんだろうかって悩んでいた。

今の美郷を見るとそんなこと考えられないけど。


そんな美郷の相談相手が僕だった。
浮かない顔してるくせに、話しかけると無理をして笑う。

その笑顔を見て、何度胸が苦しくなったか。

周りには弱いところを見せない彼女が、自分だけには弱いところを見せてくれる。


そんな美郷を気づいたら守ってやりたいって思った。

向こうは僕のことなんか、弟くらいの感覚で、恋愛対象で見てないことなんかわかりきっていた。


だから、そばにいれるだけでいいって思った。

もし、兄貴に飽きたら僕の元に
これば、そんな顔はさせないのに。

なんてくだらないことを考えたこともあった。