「こ、これからも千湖って呼んでくれる…?」


少しでもいい、少しずつでもいいから
尊くんにとって、わたしの存在が大きくなって欲しいって

自分の中にこんな欲張りな気持ちがあるなんて知らなかった。



すると、意地悪そうな笑みを浮かべて


綺麗な指がスッと唇に触れる。

その動作はまるでキスをする前かのようで


このまま、全てを奪われてもいいって思ったくらい……。


「……千湖がこれからも甘いのたくさんくれたらいいよ」



そんなのいくらだってあげる


いくらだってあげるから


「こ、これからも放課後ここに来てもいい?」


「……千湖だけ特別に許してあげる」


その特別が、いつかわたしだけに
向けられる言葉になってくれたらいいのに━━━━。


そんな淡い期待を抱きながら
わたしは今日も尊くんと秘密の放課後を過ごしている。