それに自分の中には、いつも美郷の存在があって、他の子になんか興味すらわかなかった。

だけど、千湖だけは違った。


少しいじめて、甘いことを言ってみると、すぐに顔に出る。

ただでさえ可愛いのに、顔を赤くして、うるんだ瞳で見つめられたらたまんない。

バカだし、単純だし、騙されやすい。
美郷にちょっと揺さぶられただけで、まんまと騙されてるし。

「……まあ、そんなところも可愛いけど」


そんな、千湖の全てが愛おしく感じるって重症なのかもしれない。

とことん、どこまでもハマって抜け出せそうにない。


正直、美郷が帰って来たときは本気で驚いた。

中学1年の時に出会ってから、もうそんなに経つのかと思うと時間の流れって恐ろしいって思う。


美郷に出会った時、もうすでに兄貴の彼女だった。