「これで雪野くんのサボれる場所がなくなるわけか。あっ、それだったら授業ちゃんと出てくれるようになるからいいじゃん?」
「た、たしかに」
今まではサボる場所があったからいけないんだ!
それさえなくなってしまえば……
でもなぁ……。やっぱり違う。
もともと、旧校舎のあの部屋がなければ、尊くんとこんな関係になっていなかったかもしれない。
出会ったきっかけでもある場所がなくなってしまうのはやっぱり寂しい。
「まあ、でも千湖からしたら思い出の場所でもあるもんね」
まさにその通り。
尊くんを好きになって、
尊くんに毎日会いに行って、
想いを伝えて、
今も2人で過ごしている大事な場所。
「取り壊し来週かぁ……」
「まあ、それまで2人の時間を楽しむだわね」