「ずっと……抱きしめてくれてたの?」
「……そりゃ、大事な子だから」
ギュッと、強く抱きしめられた。
甘い甘い…尊くんの匂いに包まれて。
「ケガしてたけど大丈夫だった?」
「う、うん大丈夫」
や、優しい……!
あの意地悪なことしかしてこなかった尊くんが心配してくれてるなんて。
今日は雪が降るかもしれない。
なんて、そんな失礼なことは口が裂けても言えるわけない。
と、ここで。
いまだ、解決していないわだかまりがあることに気づいた。
空園先生のこと、そして準備室に残ったあの日のこと。
「尊くん……ひとつ聞いてもいい?」
「……なに、美郷のこと?」
もうきっと、わたしが聞きたがっていることを把握している。

