ずっと、この言葉だけが欲しかった。

そばにいて、想い続けて。

どれだけ、甘いことを言われても
好きという2文字をもらえたことなかった。

手に入れたい、自分だけ見て欲しいって思っていても

それは夢のようなことで。

叶うわけなんてないと思っていたのに。


「ほら、おいで」


今こうして、わたしを抱きしめてくれている尊くんはもう、他の誰かには渡さない、手放したくない。

今この瞬間を大切にしたい……。


***


「ん……あれ?」

気づいた時に、わたしはなぜか尊くんの腕の中で眠っていた。


「……起きた?」

「あ、あれ……なんでわたし寝ちゃって」


「抱きしめた途端、急に寝るからびっくりした」


どうやら、尊くんの腕の中で安心してしまったのだろうか。

ってか、そもそもわたし一応ケガ人だったわけで。

勢いでここまで来れたのを褒めて欲しい。