ピーッと審判がホイッスルを鳴らして試合が始まった。
バレーボールなんて中学校の授業以来。高校では選択で取らなかったから、ルールとか全然把握できてない。
ぼけっと突っ立っている間にも試合は進んでいて、どうやら相手のチームがミスをして、こちらに点数が入ったみたい。
盛り上がってるな…なんて、思っていた時。
「みんな、頑張ってー!」
コートの外から聞こえてきた、この声にぐらっときた。
そこに視線を向けて見れば
いつも下ろしている長い髪をポニーテールして、控えめなピンクのジャージを着ている
……空園先生の姿。
その場でぴょんぴょん跳ねながら、一生懸命応援しているのが見えた。
あんな姿……全部うそなのに。
あの人の表の顔は崩れない。
完璧に、いい先生になりきっている。