だから……

あの写真に違和感を感じたのか。


お世辞でも幸せそうに写っているとは言えない尊くんの表情。


「尊もすげー頑張ったと思う。兄貴に比べられながらも、自分なりにね。だけど、尊がどれだけ頑張っても、真さんを超えることはできなかった」


最後に「あ、真さんっていうのは尊の兄貴の名前ね」と付け足した。


私の中の尊くんは、いつも完璧で、非の打ち所がない人だと思っていた。

だって、きっとこれは誰もが思っていたことだと思う。


弱いところなんて見たことなくて。

いつも、表情ひとつ崩したりしない。


そんな尊くんが、苦しんでいたことに気づきすらしなかった……。


「この高校に入ったのも、真さんが卒業した学校でもあって、尊の両親が勧めたからだろうね」