「うわぁ、やっぱり尊くんだ!久しぶりだね」


ドクドクと心臓の音がうるさい。
落ち着いて、平常心を保たなくちゃいけない。

そう、動揺なんか見せちゃいけないのに……。


「っ……」

隣にいる尊くんの顔を見たら
隠しきれるわけない……。


いつもは見せない、憂いに満ちた表情……。


まるで遠い昔を思い出しているような、その表情の中に深い悲しみが隠されているような……。


「何年振りかなぁ?しばらく会ってないから一瞬わかんなかったよ?」


「……そう。美郷もこっち帰って来たんだ」


しばらく無言だった尊くんがようやく会話をし始めた。


平然と話しているつもりかもしれないけど、全然表情作れてないよ……尊くん。


それだけ尊くんが動揺してるってこと…だ。