なぜだろう……。
今の言葉で、この場の空気が一気に重いものに変わってしまったような気がするのは。
触れちゃいけない、何かがあったのかもしれないと悟った。
そうきっとそれは━━━。
「あれ、もしかして尊くん?」
わたしが知らない……知りたくない事実。
ひしひしと、近づいてくる不穏な足音は塞ぎたくても塞ぎきれなくて。
「美郷……」
尊くんの声に反応して
後ろに振り返ってみると
とても美人な人がわたしたちを見ていた。
少し暗めのブラウンの髪。
雪のように白い肌。ぷっくりした女性らしい唇。
こちらに向けられている笑みには可愛さもあって、その中にも女性っぽさを持ち合わせるような雰囲気。
間違いない……
前に尊くんの家で見た
あの写真に写っていた女の人…だ。

