「んじゃ、今度ふたりで来る?」
「っ、」
ほら、またそうやって期待させるようなこと言って。
しれっとした顔で、そんなことばかり言われたら心臓に悪い。
隣に視線を向けるときれいな横顔。
正面から見ても整った顔は横から見ても絵になる。
ふわっと風が吹いて、サラサラ揺れる髪から垣間見えるピアスのひかり。
尊くんはいつもこのピアスをしている。これ以外をしているところは見たことない。
「ピアス、きれいだね」
ほんの軽い気持ちで発した言葉だった。
なにも深い意味なんかなかった。
だけど、それは触れてはいけないことだということを確信してしまった。
ほら……
一瞬できれいな横顔が寂しそうな笑みを浮かべた。
ハハッと、力なく笑ったと思ったら。
「……こんなのきれいでも何でもない」
そう吐き捨てたのだから。

