お互い何も話さなくなると、海の音がザザァッと聞こえる。
岩に当たると跳ね返ってさらにその音が大きくなって。
潮のにおいがいして、風が吹いてなんだか心地いい。
「千湖ってさ」
「ん?なぁに?」
「泳げるの?」
「え、急にどうしたの」
「なんとなく泳げなさそうなイメージだから」
「むっ、泳げるもん!」
「へー、それって浮き輪ありで?」
「なっ失礼な!!浮き輪なくても泳げるもん!」
尊くんってばわたしのことなんだと思ってるんだ?
「ふっ、なんか千湖が浮き輪して溺れてるの想像したら笑えてきた」
いやいや、浮き輪して溺れるって相当かなづちだよ?そんなの想像するなし!

