寒い。冷たい。

私の声は誰にも届かなくて。

助けて智美。助けて…山田君。

何時間経ったのだろう。

辛いよ。

ポロポロと私の目から涙が流れる。

涙のおかげか、口に貼られたガムテープが取れた。

「あっ…。」

久しぶりに出る声はちょっと掠れてて。

今なら人がいるかもしれない。

叫べるのに。

「あっ、あ…。」

私の喉は言うことを聞いてくれなくて。

助けて

だれか。



ギィ…。

誰?智美?山田君?先生?

助けが…きてくれたの?


その期待は一気に打ち砕かれた。

「おまたせ咲。」

柳君が帰ってきてしまった。

「ガムテープ…取れちゃってるね。
どうしたの?怯えちゃって。可愛いなぁ」

なんて私の頬を触る柳君。

怖い怖い怖い怖い。

その言葉が頭を埋め尽くして。

誰か…助けて…。

その瞬間、体育館倉庫のドアが開いた。