「…でもゆずちゃんは幸せじゃないんだ?」





茜ちゃんが来てから、保健室に行くことが増えた。



なんだか家にいるのも居心地が悪くて、こんなこと言えるのも先生しかいないから。





「私は…いいんです。
ここで変に乱したくない」

「ずっと好きだった茜とひとつ屋根の下だもんな〜」





そう。


前に先生が言った通り、私が入れる隙なんてない。



もともとなかったのかもしれない。





「俺が代わりになってあげようか」

「…?」

「ゆずちゃんの心にぽっかり空いた穴を塞いであげようか」

「何を…言ってるんですか」





穴を、塞ぐ?



先生が…私の?





「寂しいんでしょ」

「別に寂しくなんか…」

「現に保健室に来てるじゃない。
俺に、会いに来てるんでしょ?」





違う。



先生に会いに来てるわけじゃない。



ただ家にいたくないだけ。

ただ聞いてほしいだけ。




…ただそれだけ…のはず。