つまり、自分に合うファッションを理解しているのかそうでないのかが大きな違いなのだ。


ため息が出そうになるが、せっかくの楽しみをため息でつぶすわけにはいかないので、ギュッと口をつぐんだ。


「やっぱ、鹿目さんっておしゃれだよね」


「そう? 私はいつも着てる私服で行こうと思ってたんだけど……」


「それでも十分でしょ。それに鹿目さんだけじゃなくて茅乃もおしゃれだしね」


さっきまで蘭子に目を向けていた理子ちゃんが突然パッと私に視線を向けた。


いきなりの出来事になにを言えばいいか、わからなくなってしまう。


私がおしゃれ?


蘭子だけじゃなくて、私もおしゃれ?


「阪口、今そのこと言ってたんだけど」


「あれ、そうだったの? 茅乃を囲んでたから、てっきり遊んでたのかと思ってたよ」


「遊んでたって……2年生全員が集まる場所でなにができると思う?」


「たとえば、かごめかごめとか? あと、花いちもんめとか」


「小学生じゃん、それ。まぁ今どきの女子高生がそれをやっててもおかしくはないけどね」


笑い合いながら話す蘭子と理子ちゃんの会話に水をさすのは、さすがの私でも気が引けてしまう。


思い出話に花を咲かせているようで、誰も邪魔できない雰囲気が強いからかもしれない。