影と闇

心の中の風船が限界まで膨らんだところで、ちょうど店員さんがレジまでやってきた。


そこには私がほしいと思っているワンピースとパンプスが置いてある。


実物を見て胸を撫でおろした。


安心してから、持っていた水玉模様のワンピースを店員さんの前に置いた。


店員さんがタグにつけられたバーコードを読み取っている間に、カバンの中からお気に入りの財布を探して取りだす。


いくら入ってたかな。


高校生になってからバイトは何回かしたけど、その給料はほとんど家の費用で消えてしまった。


だけど、親戚からいまだにお年玉をもらうから、不自由というわけではない。


財布を開けて所持金を確認していると、会計をし終えた店員さんに声をかけられた。


「お待たせしました。合計2400円になります」


2400円って安い!


てっきり5000円はいくのかと思っていたのに、私の予想をはるかに超えた。


2着のワンピースとパンプスで2400円はかなり安い値段だ。


合計を見てびっくりするが、所持金が足りるかが問題だ。


なぜか心臓がバクバクとうるさく響くのを感じる。


財布の中をまじまじと見てようやくひと息吐いた。


よかった、足りてる。


胸を撫でおろしたい衝動に駆られるが、今はお金を払うことが最優先だ。


慌てて財布からお金を取りだし、落とさないように店員さんに差しだす。


店員さんが合計金額と差しだした金額を見比べ、ようやく受け取りレシートを私に差しだした。


はじめてひとりで服を買ったけど、なかなかいい。


新鮮な感じで楽しい。