影と闇

これを見てもなお町内一のファッション専門店なのかと思うほうが逆に変だと思う。


服屋に入ったのは小学生のときにお母さんとふたりで来たっきりだから、ちょっと新鮮な感じだ。


「ほぉ……」


偶然視界に入れていた場所に自分の好みの服があったので、思わず駆け寄って感嘆の声をあげた。


私が手に取ったのは、2年生の女子に一番人気の雑誌に載っていたというワンピース。


薄ピンクをベースにした、白の小さな水玉模様が特徴のワンピースだ。


可愛い。


立ち止まってそう思ったのはいつ以来だろう。


って、いけないいけない。


今は末那の服探しに付き合っているんだから、自分の好みの服を買ったら自分勝手だと思われる。


ブンブンと首を横に振りながら慌てて持っていた服をもとの場所に置いて末那のほうをチラッと見る。


末那はさっそく好みの商品を見つけたらしく、いくつかの商品をレジに持っていた。


どうしよう。


好みの服を買ってもいいかと聞こうと思ったんだけど、レジで会計中なら仕方ないな。


私も買っちゃおう。


思いきってもとに戻した服を再び手に取り、他に好みのものがないかと店内をぐるぐるまわる。