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服屋に入ると、店内は思ったよりも殺風景だった。
“町内一のファッション専門店”と呼ばれているこの服屋がこんなにさみしい感じとは思わなかった。
そう思ったのは店内の装飾を見たからではなく、お客さんの数の少なさから。
装飾はまさに女の子の理想の部屋そのものだった。
ピンクを基調とした可愛らしい飾りつけだが、お客さんの数が少ないからなのか、それさえもさみしい要素となっていた。
それに対して末那はというと。
「あっ、これ可愛い! この服、修学旅行のときに着ていこうかな〜」
店内の雰囲気や装飾など目もくれず、売られている商品ばかり目を向けている。
その様子を見ると、さっきの苦しそうな笑顔がまるで嘘だったかのようだ。
好きなものを見て大喜びする子供にしか見えない。
そのこと考えるのはやめよう。
今は一緒に服を見ていることを意識する。他はなにも考えない。
心の中にいるもうひとりの自分にそう言い聞かせ、私も商品を見てみる。
町内一のファッション専門店と呼ばれるだけあって、服だけでなく帽子やアクセサリーもたくさん並んでいた。
しかも同じ商品がダブっておらず、品ぞろえが豊富いう印象。



