影と闇

ほっと安心したような、さみしいような、複雑な感じだ。


痛みから解放されてよかったと思う私と、それと同時に末那が私の頬から手を離したのを見てさみしいと思う私がいたことに気づいたのだ。


私が気になってた末那の言葉の答えは、今はまだ知らなくていいよね。


知らないままのほうが幸せだということもあるかもしれないし。


心の中ではそうつぶやきながら、「そうだよ。私たちが迷子になるわけがないんだからさ」と一生懸命に笑った。


「だよね。私と茅乃ちゃんは心の中でいつでもつながってるから離れてもすぐにくっつくもんね」


私に差しのべた左手を、なんの迷いもなくスッと引っ込ませる末那。


笑顔をキープしているような気がするけど、私にはその笑顔が少し苦しそうに見えた。


自分が差しだした手を拒否した私の言葉によほどショックを受けているのか。


口角はちゃんと上がってるのに、目の奥がまったく笑ってない。


だが末那は、私がそのことに気づいたことに気づいていないのか、必死に笑顔を見せ続けている。


最初から苦しそうな笑顔を見せるなら、笑顔を向けないでほしい。


こっちまで胸が苦しくなるから。


そう言うこともできず、私は末那に明るい笑顔を浮かべた。


「うん、私たちはすぐくっつく関係だもんね。じゃあ一緒に入ろ!」


「そうだね」


私の言葉にひとことだけ言葉を返した末那は、なんだか顔色が悪そうだった。


だけどそれをスルーして、ふたりで服屋へ入った。