影と闇

自分の耳ではそう響いたと理解しているのに、その言葉がやけにグサッと突き刺さるのだ。


視線を集める理由が、私が可愛いからなんてありえない。


私は可愛いという要素をまったく持っていない。


そんな私が可愛いと言われるなんて、あきらかにおかしい。


だからといって末那のことを信用しないというわけではない。


末那は純粋で誰にでも優しくて素直だから、私の今の心のよりどころなのだ。


自分はあまりそう思わないけど、とりあえずこう言っておくことにする。


「ありがとう。末那だって可愛いよ」


今聞いた言葉を真に受けたわけではないのに、なぜかくすぐったい。


曖昧な笑みを浮かべて、末那の姿を視界に映す。


やっぱり末那は可愛い格好をしている。


あざやかな花柄のワンピースに薄手のカーディガン、背伸びしたようなパンプス。


学校のときとは違う末那の格好に、少しドキッとした。


可愛い格好の末那を、男の子たちが放っておくわけがない。


対する私は、真っ白なワンピース、デニムジャケットに白のスニーカーという格好。


お世辞でもおしゃれとは言えないだろう。