先生のところに計画用紙を出しに行く途中で、ふと末那と視線がぶつかった。


蘭子や理子ちゃんとの会話に夢中になっていたから、末那の存在を忘れそうになってしまう。


慌てて前に向き直り、先生に計画用紙を提出した。


「はい、オッケー。それにしても片桐のグループは楽しそうだな?」


注意する前の私たちの会話も先生にはすべて筒抜けだったようで、少しだけ恥ずかしくなった。


「そ、そうですかね? きっといい修学旅行になると思いますよ」


口角を必死に上げてそう言ったあと、また末那と視線が合った。


さっき見たときよりも鋭い視線だ。


敵でも見るかのような視線に、思わずゾッとする。


冗談だよね。


それか、末那は蘭子や理子ちゃんに囲まれて話している私に嫉妬しているのかだよね。


親友が怖い表情を見せるなんてはじめてのことだからよくわからないけど、たぶんそうだと思う。


慌てて視線をそらし、蘭子たちのもとに駆け寄る。


「出してきたよ」


「ありがと茅乃、せっかち先生のオッケーサインはもらった?」


「うん、私たちのグループ楽しそうだなって言われたよ」


「マジ? じゃあ最高のグループじゃんかー!」


“最高のグループ”。


蘭子のその言葉で再び背中に刺さるような鋭い視線を感じた。


だけど私は気づかないフリをした。


親友のものだと心の中で気づいていながらも、必死に我慢した。


結局、鋭い視線の理由を聞けないまま授業は終わった。


それが原因か、末那とひとことも話さずに帰ってしまった……。