影と闇

なにもされなかったことはない。


末那にナイフで刺されそうになった。


だけど、そのことをクラスメイトに言ったら、余計な心配をかけてしまうと思い、末那にはなにもされていないと言った。


嘘をついたときは妙な罪悪感を感じたが、私は気づかないフリをした。


地面にボタボタと大粒の雪が降りはじめたこの日、私はミカと一緒にドーナツ屋さんに来ていた。


目の前にあるミルクティーを飲みながら、ミカが小さくため息をついた。


「ほらね、私の言ったとおりだったでしょ。芦谷末那は性格が悪くていじめられてたんだって」


たしかにミカの言うとおりだった。