影と闇

「あ……」


病室の中にいた人物が声をあげ、こちらに顔を向ける。


全身が包帯に巻かれていて、目と鼻と口しか出ていない状態だ。


包帯で巻かれていない部分が、黒く焼けただれている。


火だるまになったんだな。


それを見るだけで心が痛くなる。


「末那……」


真っ白な包帯に巻かれているのは、私の親友、末那だ。


焼けただれたまぶたを開けられないのか、痛そうに顔をゆがめている。


「大丈夫……?」


おそるおそるといった様子で末那に問いかける。


火事が起こる直前の末那なら、私の姿を見るなり怒鳴っていたんだけど。