影と闇

エレベーターを降りてすぐの場所に【356号室】という病室名が書かれていた。


その下には【芦谷末那】という名前が貼られている。


「こちらです」


「ありがとうございます」


再び頭をさげると、案内してくれた女性は会釈と笑顔を残して姿を消した。


ここが、末那のいる場所……。


そう思うだけで妙な緊張感を覚える。


変だな。


相手は親友なのに、こんなに緊張するなんて。


ごくっと唾を飲み込み、手汗がにじむ握り拳で病室のドアをノックした。


向こうから声がしたのを確認して、ゆっくりドアを開けた。