影と闇

足音を立てられなくなるほど静かな空間に耐えながら、受付の女性に声をかけた。


「すみません。356号室はどこですか?」


なるべく愛想よく話しかけた私。


私の声が聞こえたと同時に、受付にいたもうひとりの女性がこちらにやってきた。


「356号室ですね? ご案内いたしします」


「ありがとうございます」


礼儀正しく頭をさげ、前を歩きはじめた女性の背中を追いかける。


しばらく歩いたところにあるエレベーターに乗り、女性が3階へ行くボタンを押した。


そこから356号室に着くまで、そう時間はかからなかった。