化学の教科書とノート、筆記用具を持って教室を出た。


授業場所の第2化学室に向かおうと廊下を歩いている途中、うしろから蘭子がやってきた。


「茅乃ー、一緒に第2化学室に行こっ」


「うん」


私の返事で蘭子が笑顔で隣までやってくる。


第2化学室に着くまでの話題は末那のことだ。


「末那の家、火事になったんだってね」


「うん。家が火事になっただけじゃなくて、芦谷が火だるまになって病院に入院してるって」


やっぱり末那は火だるまになったのか。


そりゃあそうか。


みずから家に火を放ったら、自分が火だるまにならないわけがないだろう。