影と闇

狂気に満ちた末那の表情が怖い。


体がガクガクと震え、声もあげられない。


私……末那より先に死んじゃうの?


嫌だけど、仕方ないか。


私は末那に殺される運命だとしたら、こうなるのは必然的だろう。


ナイフを一瞬だけ掲げ、私に向かって振りおろした末那。


その様子がスローモーションのように見えた。


私は死ぬんだな……。


そう思ったとき、私の前に人影が現れ、私と末那の間に割って入った。


その直後にビリッという音が聞こえた。


「えっ……」


ナイフを持っている末那があ然として、ナイフを砂の上に落とした。