影と闇

「誰か……誰でもいいから助けて！」


末那から逃げる私を助けてほしいと叫ぶクラスメイトの女子の声も遠くなっていく。


チラッと末那のほうに目を向けた。


さっきまで呆然としていたのが嘘のように、私を睨みつけながら追いかけてきた。


つやつやな髪がボサボサになるのもおかまいなしに追いかけてくる。


「逃げるなぁ！ 殺すぞ！」


血に飢えた獣のような表情で、地の底に響くような声を出す末那。


逃げるなって言われると、逆に逃げたくなる。


殺すと言われると、殺されたくないと思う。


死にたくない、殺されたくない。