影と闇

その言葉に、私は思わず『えっ?』と聞き返した。


それと同時に私が振り返ったときには、もう末那の姿が豆粒のように小さくなっていた。


末那の友達になろうという言葉は幻聴だろうと思い直し、教室に戻ったんだ。


だけど、次の日から末那は蘭子以上に私に話しかけてきた。


はじめて末那に話しかけられた瞬間、友達になろうという言葉は幻聴ではないと知った。


それと同時に蘭子が、末那が私にくっついているときに毎回引きはがそうと話に割って入るようになったんだ。


『芦谷、なんで茅乃にそんなベタベタしてんの? 気持ち悪いんだけど』


敵でも見るかのような目で、蘭子が末那を睨んでいたことは今でも鮮明に覚えている。


でもそれからかな。末那を蘭子がいじめなくなったのは。


それは安心している。


蘭子を囲う女子たちも、蘭子に従うように末那をいじめなくなったんだ。


『なんでいじめられっ子のあんたが茅乃にくっついてんのよ』


『茅乃にくっついてても、しょせんいじめられっ子はいじめられっ子よ』


口には出していなかったが、気づく素振りを見せない末那の背中に冷たい目でこう訴えているのは気づいていた。