影と闇

自分では気配を消したつもりだったのに、末那が私の姿に気づいてつかみかかってきた。


体操着のシャツの胸ぐらを強く掴まれ、無理やり末那のほうに向かされる。


前に掴まれたときほどではないが、呼吸が不安定になる。


呼吸が安定しないのは、末那にシャツを掴まれたからではなく、末那が私のシャツを掴んでいるほうとは違う手にナイフを持っていたから。


刃の長さがだいたい20センチくらいで、刃先が鋭く尖っている。


「ま、末那……」


そんなものを持って、なにをする気?


今は授業中でしょ?


ナイフを持ってくるのはやめて。