影と闇

先生から目をそらしてうつむいたそのとき、近くから砂を蹴るような足音がした。


グラウンドにいる人の中で、歩いている人はひとりもいない。


誰かがここに来たんだ。


そう思ってそっと足音のしたほうに目を向けた。


そこには、ふらふらとした足取りでうつむきながら歩く末那がいた。


体操着姿なので異常はないが、末那の背後から感じるオーラが普通じゃない。


背中に冷たいものを当てられた感覚に襲われる私をスルーして、右隣に座っている蘭子がコソッとささやいた。


「ふふっ。またヤマンバオーラ発揮してるわね、芦谷。マジウケる」