そして私に口パクで『サンキュ、茅乃』と言いながら蘭子は早歩きで自分のクラスに戻った。
私の言葉が響いたみたい。
安堵の息を吐いて胸を撫でおろした直後、末那からの視線を感じた。
おそるおそる末那に目を向けると、末那はうるうるとした瞳を私に向けていた。
まだ蘭子に怯えているのかも。
『あっ、芦谷さん、もう大丈夫だよ! 怯えなくても……』
『違います。私、誰かに助けられたことが一度もなかったから信じられなくて。まさか片桐さんが助けてくれたなんて思わなかったから』
予想していたこととは違う反応を見せる末那に驚くしかない。
末那が目をうるませたのは蘭子に怯えているのではなく、私が助けてくれたことに感動を覚えていたからだったのか。
なんて思っていたら、授業開始を知らせるチャイムが鳴った。
『じゃ、じゃあね、芦谷さん!』
慌てて教室に戻ろうとしたが、末那に呼び止められた。
『片桐さん。私、片桐さんと友達になりたいです! 私のことは末那って呼んでいいですから!』
私の言葉が響いたみたい。
安堵の息を吐いて胸を撫でおろした直後、末那からの視線を感じた。
おそるおそる末那に目を向けると、末那はうるうるとした瞳を私に向けていた。
まだ蘭子に怯えているのかも。
『あっ、芦谷さん、もう大丈夫だよ! 怯えなくても……』
『違います。私、誰かに助けられたことが一度もなかったから信じられなくて。まさか片桐さんが助けてくれたなんて思わなかったから』
予想していたこととは違う反応を見せる末那に驚くしかない。
末那が目をうるませたのは蘭子に怯えているのではなく、私が助けてくれたことに感動を覚えていたからだったのか。
なんて思っていたら、授業開始を知らせるチャイムが鳴った。
『じゃ、じゃあね、芦谷さん!』
慌てて教室に戻ろうとしたが、末那に呼び止められた。
『片桐さん。私、片桐さんと友達になりたいです! 私のことは末那って呼んでいいですから!』



