影と闇

悲しみに沈む私の顔を覗き込んだのか、ゆっくり手を離した沖田くんが少しだけかがんだ。


私に目線を合わせるような沖田くんの行動に心臓がうるさくなる。


ドキドキする私を軽くスルーして、沖田くんが私の頭に優しく手を置いた。


そして、私だけに聞こえるようにささやいた。


「明後日、デートしようか」


「えっ……!」


沖田くんの笑顔とささやきに、さらにドキッと心臓が高鳴る。


これは確信犯だよ。


「俺とデート、嫌だ?」


「い、嫌じゃないよ! むしろ嬉しいよ!」


首を左右に振って、嬉しさをあらわにする。