影と闇

顔がニヤけるのをなんとかおさえてしばらく歩いていると、ピタッと沖田くんの足が止まった。


どうしたんだろうと思って首をかしげた瞬間、沖田くんがくるっと体を私に向けた。


「ここ、茅乃の家でしょ?」


その言葉を聞いて目を見開いた。


どうやら私が歩きながらぶつぶつと心の中でつぶやいていた間に、沖田くんが私の家の前にやってきたらしい。


気づかなかった。


驚きの表情を見せる私に、沖田くんはスッと握っていた手を離した。


その行動に名残惜しさを感じる。


自分の彼氏だからいつでも連絡できるのに、なぜか悲しみが込みあげてきた。