影と闇

「……なんで避けてるの?」


さみしさを感じさせるセリフ。


私が沖田くんに悪いことを言ったみたいな感じになっている。


私を見つめる沖田くんの表情を見たくないと思っていたのに、表情が気になって沖田くんに視線を向けてしまう。


うるうると涙に濡れた大きな瞳が視界に映る。


どうして?


「なんで1か月もの間、俺を避けてたの? 頼むから……俺を無視しないで」


無視できないわけがないよ。


無視しなかったら、沖田くんに恋心を抱いてしまうかもしれないから。


「無理。私は沖田くんを無視するしかないの。無視するしか方法がないの」


「方法って……避けないっていう選択肢もあったはずだろ。そっちを選べばいいじゃん」


「選べないよ。私に残された選択肢はひとつしかない。私のことはいいから、沖田くんは自分のことを優先しなよ」


やばい、泣いてしまいそう。


「優先するのは自分のことじゃなくて、片桐さんのことだよ。ほっとけないよ」