影と闇

でも、どうしてかな。


自分をイメチェンさせる作戦は成功し、蘭子や他のクラスメイトはびっくりして喜んでいたのに。


なんで、沖田くんの反応を聞くのが怖いんだろう。


『今までの私は地味子だったでしょ?』と沖田くんに言うんじゃなかった。


じわっと涙が浮かんできた瞬間、沖田くんの真横をすり抜けて勢いにまかせて走りだした。


「あっ、片桐さん!」


追いかけないで。


沖田くんにお姫様扱いされるのはくすぐったいの。


それに、ファンの女子たちに恨まれるどころか殺されてしまうんじゃないかと思うんだ。


ねぇ、沖田くん。


私のためにも、沖田くんのためにも、これ以上距離を縮めないで。


誰かを傷つける言動をしたくないし、傷つける言動を見たくない。


「待ってよ! 話が……」


話しかけないで。


私は、沖田くんの隣にいるべき人間じゃない。


うしろから聞こえる沖田くんの声を全力で振りきるように、私は学校をあとにした。